こんにちは、ヒデです。
日本経済新聞に心配な記事が掲載されていました。
日本経済新聞 WEB版 2022年1月18日
一年間で株主優待制度を廃止した企業は75社あり、10年間で最も多くなったそうです。
株主優待制度
株主優待制度は上場企業が一定株数を保有する株主に、自社商品や商品券などを贈る制度のことで、保有期間の長い株主に、優待品を優遇する企業もあります。
私は日本たばこ産業(2914)とオリックス(8591)から優待品をいただいています。
配当利回りも高い会社だから心配です
1年以上継続保有されている株主は保有株式の数に応じて自社商品がいただけます。
オリックスの株主優待(ふるさと優待)は保有年数により、AコースとBコースがあります。
3年以上継続保有をしているとワンランク上のカタログギフト(Aコース)をいただけます。
株主優待制度を廃止する理由
株主優待制度を廃止する企業が増えている理由についてまとめます。
理由① 株主平等の原則
株主平等の観点から、還元策としては優待より配当を重視する企業が増えている。
会社法109条1項の「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない。」という条文です。
機関投資家から公平な利益還元を求める声が多いそうです。
日本たばこ産業(2021年予想配当140円)を例に計算すると
100株保有の株主 = 14,000円+2,500円相当の優待品 ⇒ 16,500円相当
200株保有の株主 = 28,000円+2,500円相当の優待品 ⇒ 30,500円相当
確かに平等ではないですね。
200株保有の株主は5,000円相当の優待品をいただかないと・・・
まして、機関投資家なら優待品ではなく、配当を求めるのは当然ですね。
理由② 東京証券取引所が上場基準を改正
東京証券取引所は2022年4月に市場区分を再編成します。
再編成に向けて、2021年11月から東証一部に上場するための基準が改正されました。
改正された基準の一つ、上場維持のために必要な株主数が2000人以上から800人以上に緩和されました。
必要株主数が少なくなることで、株主数を確保する必要がなくなれば、株主優待制度を廃止しようと考える企業があるかもしれません。
株主優待制度は無くなるのか
株主優待制度は、社会通念上合理的な範囲であれば株主平等の原則に反しないと解釈されています。
いきなり、無くなることはなさそうです。
株主優待制度は廃止しやすい?
株主優待制度を廃止する時は取締役会の決議により行うことが出来ると解釈されています。
上場会社の場合は、十分な時間的な余裕を持って、事前に市場に開示をする必要が求められています。
配当金は株主総会の決議が必要なので、比較すると改廃をしやすいと言えるかもしれません。
企業にとってのメリット
優待品として自社製品を受け取る株主は、出資している会社の製品を知ったり、愛着を持ったり,購入することがあるかもしれません。
株主優待制度に企業が合理的な理由を付けることができれば継続される可能性も期待されます。
企業の方針が重要になる
個人投資家の人数を集めるために株主優待制度を行ってきた企業にとっては、東証の基準改正により制度の必要性が少なくなっているように感じます。
一方で、自社品を知って頂くためなどの目的のある企業にとっては、株主優待制度の必要性は変わらないですね。
例えば、カゴメ株式会社の場合
株主優待贈呈については、株主還元と一線を画し、株主のみなさまには、様々な旬の情報と共にお届けする当社商品を通じて、KAGOMEを知っていただくことを主旨としております。また、毎回実施しているアンケートにて株主のみなさまのお声をお聞かせいただき、企業活動に活かしております。
カゴメ株式会社ホームページより
気になる企業のIRページや株主通信などで方針を確認すると良いです。
まとめ
外部環境としては、株主優待制度は廃止に向かっているように感じます。
特にQUOカードなど金券類を優待品としていた企業は、個人株主を集めるための取り組みと考えられるかもしれません。
もし、個人株主を集めるための取り組みとして株主優待制度を行なっているなら、今回の「東証 上場基準改正」で意義は薄れそうです。
一方で、自社製品を知ってもらう為や企業活動に役立てるために制度を設けている企業は継続されるのではないでしょうか。
対策として出来ることは2つ
①企業の方針を確認する
②株主優待から配当にシフトを検討する
高配当株への投資については『高配当株に投資して配当金をもらう』をご覧下さい。
しばらくは、投資している企業の株主優待制度の動向に気をつける必要がありそうです。
今回の内容が皆さんのお役に立てればうれしいです。
最後までお読み頂きありがとうございました。
【続報】